REMIX
新たなるメッセージを携えたジャミロクワイの2ndアルバム。
1stアルバムで "スティービー・ワンダーの声とジョン・レノンのハートを持つ男"「Face誌」と称されたジェイ・ケイ。
彼が率いるジャミロクワイのニュー・アルバムが完成した。自らプロデュース、アレンジを手掛けた今作のタイトルは「The Return Of The Space Cowboy(邦題:スペース・カウボーイの逆襲)」。スペースカウボーイとは、あのトレードマークになっている
"Medecine Man"のことであり、ジェイ・ケイ本人をも意味する今作のキーワードだ。ここに、最新インタビューをお届けする。
JK,という男の子に関しては様々な人が本当に様々な意見を述べてきていることは確かである。
彼は昨年シーンに登場した新人の中でも、あの(両手を体の脇に下した)頭でっかちの、奇妙なイメージ、メディシン・マンと共に
最も話題になった人間の一人であったからだ。JK,はデビューした当時ミック・ジャガーと比較されて、彼はセックス・シンボル
と見る向きもあれば、(デ・ラ・ソウルのメンバーのように)その飾り気のないメッセージに強く印象を受けた者もいる。
又、そのエコロジカルな主張にうんざりしたという論調も、捕鯨が伝統的な文化の一部であるからかこの国の
音楽ジャーナリズムでは見られたし、無論彼は天才であると持ち上げる人間、70年代の回顧ジャズ・ファンクや
スティーヴィー・ワンダーの物真似に過ぎないという人もいた。
昨年は彼を持ち上げておいて、今年は思い出しもしない連中もいるだろし、昨年のハイプ振りに嫌気が差した人は、
今年は彼の音楽自体に耳を傾けられるかもしれない。彼らの2枚目のアルバム「スペース・カウボーイの逆襲」はエピック・ソニー
から11月3日のりリスされる。これはロンドンで彼をキャッチしたインタビュー。JK、はアシッド・ジャズ・シーンから彗星
のように現れ、極東の国でさえメディアの騒ぎに巻き込まれた、一人の男の子の本当に正直な気持ちを答えてくれている。
Remix... 1stアルバムには一貫したコンセプトがあったけど、今回はどうなの?
Jay Kay... 前のアルバムのコンセプトは物凄く強力なものだった。そして、その方向ははっきりしたものだった。
言葉を変えていうならば、"コンセプト"っていうのは"パッケージ"ということなんだ。レコーディング中は"みんなは僕に何を
期待しているんだろう?"とか、"1stアルバムでやった何があのアルバムをあんなに成功させたんだろう"とか、いろいろ考えたんだ。
で、それがわかるのに本当に時間が掛かってレコーディング遅れに遅れたけど、僕は自分自身のために音楽をやっている!
ということに気が付いたんだ。僕は自分が一体何を書いているのかはわかっているつもりだよ。
1stアルバムだって、本当の僕の気持ちなんだ。絶対的に、あの時の僕が考えていたことであって、あれは僕の心からの叫びだった。
ただ単に政治を正そうと思って書いてたんじゃないんだ。もしも、あれがそんな風に計画されて計算づくのものだったら、
それはまったくのクズさ。ある日TVを観ていて、今、起きていることを"何なんだ、これは!?と思ってガーと書いたもんなんだ。
あのアルバムに収められているのは全部そういう曲さ。それと同じことを2度と繰り返すわけには行かないよ。
だから、今度はよりパーソナルになった。1stアルバムで書いたようなこと、それを実際の行動に移すのは
本当に難しいーそれがわかったんだ。こういうことで僕は一時期メチャクチャ落ち込んでいたんだ。
今は何とか抜け出せたけどね。それで、今ではそんなメチャクチャな状態についての歌が書けるようになった。
その時、う~ん、今日はなんていい日なんだろう"なんて歌うのは意味がないじゃない。
Remix... じゃあ、今回のアルバム制作を通じて学んだ一番大きなものはなんだったの?
Jay Kay... 詩を書くのに苦しんだ。音楽が最初に全部できて、それには全く詩が付いてなくてね。
他のもの全部つくって、最終的に"よ~し、プラスはこんな感じ"なんて細かいアレンジとかまでして、その後歌詞を書いて、
音楽は完成させてあるっていうのに、歌っていることとフィットしなかったりするんだ。
そう、後、今回学んだことに音楽の中のスペースっていうのはあるな。"詰め込みすぎない音楽"さ。
常にいつでも忙しくて、じゃない。前回に比べて、レイド・バックしてるでしょ。
それから、今回は例えば"Half The Man"ではみんなで一緒にプレイしてライブ・レコーディングしたんだ。
歌詞も書き上がっていなかったんだけど、何とか歌いだして、たったワン・テイクでさ。ライブだと他のミュージシャンからの
フィード・バックがあって、ばらばらにやるよりもっとたくさんのヴァイブを得ることができるんだ。
だから、次のアルバム1枚を通して一発録りをしてみたいんだ。とにかく、勇敢に、そして正直に果敢やることさ。
ファンキーなことから、すごくシンプルな、スウィートなことにもね。
Remix... 今回のアルバム作る時、みんなに期待ゆえのプレッシャーもあったでしょう?
Jay Kay... 僕は、スタジオにきて自分のヴォーカルを録って"じゃあね"なんて、帰るようなシンガーじゃないんだ。
僕はプロデューサーもやってだからね。ということは、常に頭を回転させなきゃいけないからそれは本当に難しかった。
いつでも僕が本当に何をやりたいのかわかってなきゃいけないんだ。そうじゃないとすぐ見抜かれちゃうからね。
それに、アルバムを作るまで、"ジャミロクワイだって?、(と、ピストルを撃つ真似をして)バン、バン!白人のくせに、
奴は自分がファンキーだとおもってやがる"なんて僕を攻撃してた連中がいた。だから、何かいいものを作るのはそういう連中
との戦いなんだ。勝負さ。で、そういう連中に対して"僕は彼のことなかなかいいと思うな"っていってくれている人たちに対して僕は
責任がある。2ndアルバムを聴いてみて、"ほら、彼らはやっぱりいいんだよ"ってもらえるようなものを作る責任があるんだよ。
Remix... 普段、曲どうやって書くの?
Jay Kay... 例えば、"Manifest Destiny" の場合は、ベース・プレイヤーのみとやったんだけど、
初めは僕が口でやってみせて(と、ベース・ラインを口ずさむ)それを他のメンバーがメチャクチャにする。
それで、僕が"違う、違う!こうだ、こうだ!"って言って、自分の心の中にあるムードを保つようにするんだ。
そうじゃないといじっているうちに、みんな同じような曲になったりしちゃうからね。
"スロー・ダウン!もっとジェントルに!"ってさ。ジェントルにっていうのは”もう少しジェントルにっていうのとは全然違うんだ。
レコーディングの時はボスであること、時には無慈THE FACE悲にならなくてはいけないけどね。
で、"Manifest Destiny" は一般的な奴隷制度の歌ではなくて、アメリカのインディアンたちが白人の追われていった時の歌だ。
彼らは住んでいた処を追われて、白人に騙されてされて”インディアンは全員こっちの土地に住め!結構いい土地だぞ。
"何て言われてさ。けど、本当は穴ぼこだらけの酷い土地だったんだ。もちろん、追い払うだけじゃなくて、女子供は殺したし、
想像もつかないような酷いことをしたんだ。奴隷制度はまだ続いてる、僕はそう思っている。特にアメリカでね。
アメリカがやって来たことは本当に酷い。黒人やインディアンに酷い仕打ちをしてあの国は出来上がったんだ。
そうさ、この話は絶対に書いてほしいね。僕がシンガーをしているすべての理由は、意義は、
僕がこの口を使って人たちを保護することを助けられる、この歌の裏にあるのは" すべてアメリカ人
(筆者注、搾してきた白人のことは)マンズリ野郎だ"ってことさ。
はっきり言って、お前ら(アメリカ人)最低の野郎だし、みんな大嫌いだけど、もしかしたら僕の歌を聴いて
"おっ、いい歌じゃん"なんて言うかもしれないけど、おい、歌詞をよく聴いてくれよ、これはお前らの歌だって言いいたいね。
もし、アメリカ人がインディアンに何をやったかを知りたい人がいたら、何冊の本が出版されているだろうし、
"ソルジャー・ブルー"という映画がビデオ屋にあるかも知れない。所詮映画だが、初めて騎兵隊だけでなく、
インディアン側も描いた西部劇だ。まったく、JK、の話の矛盾や不正確さを指摘するのは簡単かも知れないが、
それでもこんな主題のポップ音楽はなぜ日本にないのだろうか、やはり僕はそう思ってしまう。
(ソウル・フラワー・ユニオンは例外だ)。
この土地に問題がないわけではないのに。スペース・カウボーイだけに任せるのは酷い話じゃないか。
